備前焼の技法 Feed

2010年9月 7日 (火)

備前焼の技法

備前焼の技法について語るべきことはほとんどない。
ただ備前の粘土で成形して窯に入れて焼けばいい。赤焼や窯変は松割木などの薪で焼けばいい。緋襷は藁を巻いて灯油や電気窯で焼けばいい。
その他青・白備前等特殊なものはそれなりの知識を応用すれば誰にでも焼けるだろう。
僕がこの素材を選んだのは、そのあまりにも原始的で簡単なところ故であろう。
当時誰でもがすぐに陶芸作家になれたのだから。
しかし現在ではそうはいかない。何でもが高級品を求めていた時代とは違い、今は何でもが控えめなエコ時代、この時代に合わせて今こそ備前焼の真の技法を探求しなければなるまい。
そんな訳で、どうすれば低燃費で低価格で楽しい備前焼が作れるか考えていこう。
まずは粘土から。原土を水槽に入れて溶かし、小石等を取り除いて石膏鉢で干す、と言いたいところだがけっこう面倒くさい。
粘土屋さんで粘土を買う方が種類も豊富で性質も聞けるので便利である。
あとは得体の知れない山土など混ぜてやると面白いだろう。

去年より準備してきた登り窯を今年正月より火入れした。焼いたのは手前の部屋(ウド)だけだが内寸幅205㎝、奥行き260㎝、高さ180㎝ある。
長時間焼けば焼くほど良くなる備前焼を、いかに短時間で魅力を引き出すかがこの窯のテーマである。
使った粘土はもちろん粘土屋さんで買う一番安い粘土、鉄分が多くて耐火度はやや低い、それに再生土等を混ぜ合わせたもの。
1年以上焚いてないのでかなり湿気ていたが、ウドだけなので空焚きせず、そのまま詰めた。
今回は陶彫やオブジェはなし、壺と花入れ、コップに皿、茶器、徳利少々だけだ。


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1日PM9時に火入れ、ガスバーナー小火で60時間湿気とり、5日0時180度から割り木と併用、6日PM3時750度でガスが終了。
7日0時1000度、PM12時1100度で追い焚き開始、最高温度1130度でPM6時終了。
割り木数450束、プロパンガス50キロ4本。


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なおこの窯の温度計は後ろの壁のくぼみの中にセットしているので実際の温度よりかなり低い。
温度計の温度は窯焚きしやすくするための目安であり、実際に焼けているかどうかは自分の目で判断するしかない。


 

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やはり窯変が弱く、色も浅い。
あと500束焚けば良くなっただろうが、それではこの研究の意味がない、窯変に頼らなくても良い新しい魅力を引き出すことが出来れば・・・。


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